研究活動・実績

乳癌術前化学療法における腫瘍微小環境の関与

(承認番号K22217)

研究課題名

乳癌術前化学療法における腫瘍微小環境の関与(承認番号K222217)


研究対象

2012年2月~2022年1月に当院で手術を前提とした乳がんの抗がん剤治療を受けられた方


研究目的・方法

乳がんは一般的に抗がん剤の治療効果が高いと言われていますが、個々に見るとその効果にはばらつきがあります。そのような効果の違いは、個々の乳がんの性質に違いがあることが原因と言われています。さらに、最近では乳がんの性質に加えて、乳がんを取り巻くさまざまな環境(腫瘍微小環境と言う)、すなわち免疫細胞や血管、リンパ管、細胞と細胞の間にあるコラーゲンなどのタンパク等々が、薬の効果に対して影響を及ぼしているのではないかと考えられていますが、まだよく分かっていません。
本研究では、乳がんと診断された方のうち、抗がん剤治療をした後に手術を予定された方で、「乳癌の予後予測法の開発」(大阪大学医学部附属病院倫理審査委員会承認番号14106)または「乳腺疾患、甲状腺疾患、副甲状腺疾患の組織バンキング」(同、承認番号14111)に同意された方を対象とします。抗がん剤が始まる前に採取された乳がんの生検検体と手術で採取された乳がんの手術検体を用い、それらの腫瘍微小環境をさまざまな側面から調べることで、どのような微小環境が抗がん剤治療の効果と関連しているのかを明らかにします。調べるものとしては、乳がんが持っているタンパク質やその遺伝子の種類と量、乳がんを取り巻く様々な(がん細胞以外の)細胞や構造物の個数、さらにそれらの細胞で活性化している遺伝子の種類とその量などです。免疫細胞が持っているB細胞受容体という遺伝子の一部の配列情報を調べますが、この遺伝子は免疫細胞ごとに異なる配列を持つ(一個人の中でも無数の種類がある)ので、これによって個人が特定されたり病気のなりやすさが分かってしまうようなことはありません。
研究期間は2027年3月31日までを予定しています。


登録研究に用いる試料・情報の種類

情報:カルテ番号、年齢、性別、乳癌の病理診断、病歴、乳がんの治療内容、副作用等の発生状況 等


利益相反について

我々は、乳がん治療薬の製造販売会社である中外製薬株式会社などから奨学寄附金を受けており、本研究はそれらの一部を使用して実施されます。
研究を行うときにその研究を行う組織あるいは個人(以下「研究者」という。)が特定の企業から研究費・資金などの提供を受けていると、その企業に有利となるように研究者が研究結果を改ざんあるいは解釈したり、また都合の悪い研究結果を無視するのではないかという疑いが生じます。(こうした状態を「利益相反」といいます。)
この研究における利益相反は、大阪大学大学院医学系研究科・医学部臨床研究利益相反審査委員会による審査を受け、承認を得ています。我々はその審査結果に基づき、利益相反を適正に管理して研究を行います。


お問い合わせ先

本研究に関するご質問等がありましたら下記の連絡先までお問い合わせ下さい。
ご希望があれば、他の研究対象者の個人情報及び知的財産の保護に支障がない範囲内で、研究計画書及び関連資料を閲覧することが出来ますのでお申出下さい。 また、試料・情報が当該研究に用いられることについて患者さんもしくは患者さんの代理人の方にご了承いただけない場合には研究対象としませんので、下記の連絡先までお申出ください。その場合でも患者さんに不利益が生じることはありません。

照会先および研究への利用を拒否する場合の連絡先:研究責任者
〒565-0871 大阪府吹田市山田丘2-2-E10
大阪大学大学院医学系研究科乳腺・内分泌外科 下田 雅史
電話 06-6879-3772